COWBOY BEBOP 天国の扉 | www.cowboybebop.com
NEWS HEAVEN'S DOOR ORIGINAL SESSIONS BEBOP U.T. BIG SHOT YMCA SITEMAP ABOUT US
プロデューサーのポツリ | メイキング天国の扉 | スペシャル企画  BACK NEXT
BIG SHOT | FOR THE BOUNTY HUNTERS
スペシャル企画
02 | 菅野よう子×ツッチー対談の巻
 ビバップのメインスタッフたちが登場するスペシャル企画。お待ちかね、菅野よう子さんの登場です。しかも今回はなんと! 幻のTV版最終話、セッションXX「よせあつめブルース」でただ一度だけ「菅野さん以外のビバップ音楽」としてその楽曲が使われたDJ、シャカゾンビのDJツッチーさんとの対談です。例によって脱線に次ぐ脱線、しかも相当専門的な話にまで及びますが、「天才肌の作曲家」と「繊細なDJ」との音楽観の違い、あるいは共通するコダワリなどが垣間見えて、なかなか興味深いものになってますよ。
−−− そもそも2人が初めて会ったのはいつ頃でしたっけ?
菅 野  「TVの最終回のときにツッチーさんとシャカゾンビの音楽を使ったというのが最初ですよね。それまで私はシャカゾンビって知らなかったんだけど、聴いていいなって思って、シートベルツのライヴ('99年8月)のときに何か一緒にできないかなっていって、打ち合わせをするために会いに行って……三宿(東京)のクラブでDJをやってるっていうから行ったのね。オレ(編注・一応説明しておくと菅野よう子はときおり一人称が“オレ”になる)、DJってなんのことかわからなくて、クラブ行ったことなくて、初めて行って、あれ以来行ってない(笑)」
−−− 菅野さんってあんまり夜は出歩かないんですか?
菅 野  「ていうか、オレお酒飲めないし、そもそも遊ぶって一体何をしたらいいんでしょう?みたいな感じでわからなくて。DJとかには興味津々だったんだけど、全然何してるかわからなくて。で、行って、ツッチーさんが回すまでずっと黙って待ってて、ツッチーさんが回し始めてから、いわゆるフロアーに初めて行ってみたらですね、なんかお触りするオジサンがいたんですよ」
ツッチー 「ええっ!?」
菅 野  「その話ししたの、覚えてない?」
ツッチー 「あ、なんかそういう話聞いたのは覚えてるかも」
菅 野  「痴漢がいたの」
−−− マジですか?
菅 野  「マジで。サラリーマンみたいな人だったんだけど、女の子に抱きつくのね。オレをはじめとして。もう酔っぱらってて、グターっとしてるんだけど、それをツッチーさんは曲で煽るのよ(笑)」
ツッチー 「いやいやいやいや。煽ってない煽ってない。別にエロい曲とかかけてないし」
菅 野  「あとでさ、『なんか変なオヤジがいたから煽っちゃった』って言ってたもん」
ツッチー 「ハハハハハハ(笑)」
菅 野  「でね、その人女の子に抱きついてばっかいて、『すっごいイヤな奴!』とか思って、こんなとこきてなんで私が酔っぱらいの相手しなきゃいけないんだ、とか思って」
−−− 最悪のクラブデビューですね。
菅 野  「もう最悪。ただそのとき初めて、こういうカルチャーがあるんだなっていうのはわかった。夜な夜なこんなことしてる人たちがいるんだなって」
−−− ツッチーさんが最初にこの作品に関わったのは、TV版の最終話で使いたいっていうオファーからですよね。
ツッチー 「ですね。そう、突然だったんですよ。で、俺的にはもう、全然使って下さいっていう感じだったんで」
−−− 実際映像になって見たとき、どう思いました?
ツッチー 「うーんとね、よくうまく絵にはめてくれたな、という感じ。自分的には絵とかをまったく意識しないでつくってた曲なわけだから。それを聴いた監督が、ああいう映像にはめてくれたというのは面白い体験でしたね。で、あのですね、それもオレにとって“ヒップホップの一貫”っていう感じなんですよ。ラップだけじゃない何かが音に乗っかってる、というのが。基本的に、自分のつくったものを広げてくれる人が常にいて、という感じで曲作ってるから。常に、なるべく自分だけで自己完結しないようにしてるんですよ」
菅 野  「わざわざしないようにしてるの?」
ツッチー 「そうですね」
菅 野  「えらい! でもなんか、わかる。隙間残しておく、というのは」
ツッチー 「そこまでガッチリつくり込むほど自信もないし、自分の作品に責任がもてない……っていうとアレな言いかただけど、『ここまではつくったけど、その判断なり、ここから広げていくのは聴く人に任せる』というか。じゃないとね、ゴリ押しになるから。性格的にもあんまりゴリ押しができないんですよ」
菅 野  「優しいのよ、きっとそれ。あとさ、あの曲(『よせあつめブルース』の最後にかかるシャカゾンビ“空を取り戻した日”)って特に思い入れがあるとか、例えば一番最初につくった、とかあるの?」
ツッチー 「そういうわけでもないですけど、あれは実は結構昔からあった曲なんですよ。別のラップが入ってるデモ・ヴァージョンみたいなのもあって、それはカセットテープだけで配ってたりとかしてて。で、それから俺らもぼちぼちCD出すようになって、いざアルバムをつくるってなったときに、あれをメインにして曲をつくろうか、ってつくったんですよ」
菅 野  「ああいう曲ってさ、何が最初にできるの? つまり、バックトラックが最初にあって、そこにいろいろラップを乗せていって、詩もどんどん変わっていって、って感じなの?」
ツッチー 「まあ、つくりかたはさまざまなんですけどね」
菅 野  「あの曲に関しては?」
ツッチー 「あれは、とりあえずオースミ君(シャカゾンビのラッパー)が『この曲でラップしたい』って言ったのかな、確か」
−−− お互い、たぶん曲のつくりかたは全然違うんじゃないですか?
菅 野  「だって、ひとりでつくったことないでしょ? みんなでつくるんでしょ?」
ツッチー 「まあそうですね。歌詞が乗るものに関しては、とりあえずバックトラックだけをつくっていって、聴いてもらって、ほかのメンバーが『これがいい』って言ったら、それにリリックを書いてもらって乗っけて、っていう感じですね」
菅 野  「たとえば10個とか5個とかトラックを上げて、メンバーに聴かせて『あれがいいこれがいい』って言ってもらって、それから詞を書いて、って感じ?」
ツッチー 「そうですね……あと、一応なんとなく注文はくるんですよ。漠然としたイメージで」
菅 野  「例えば?」
ツッチー 「『速い曲』とか(笑)」
菅 野  「そんだけかい! あとは『かわいい曲』とか『悲しい曲』とか? そのときには詞のもとはないの?」
ツッチー 「ないですね」
−−− じゃあ、“空を取り戻した日”はまったくトラックが先?
ツッチー 「あれはそうですね」
菅 野  「それで詩がきて音を足したり引いたりして……その、最初にその人をインスパイアしたトラックっていうのはいじらないでおくの? 全然変えちゃって『こっちにしましょう』っていうのはないの?」
ツッチー 「それはないですね」
菅 野  「エライ!(笑) エライよね」
ツッチー 「うーん、どうなんでしょう?」
菅 野  「私さ、曲書いてさ、詞がくるじゃん。アレンジ全部変えちゃったりするもん」
ツッチー 「え〜!(笑)」
−−− ツッチーさんがビバップのイメージみたいなのをつかんだのはいつごろですか?
ツッチー 「ビデオを見せて頂いたりしてたし、リアルタイムで放送もしてたから、TVの最終話とかスタジオで見てましたよ。『コレコレ!』なんて。で、それからイヴェントの話がきて、そんなに詳しくはないけど、ネタとしてジャズとかは買ってたりしてたから……なんかまあ、(菅野さんの音楽は)自分に近い、とか言っちゃうと失礼かもしれないですけど、でも本質的な部分では近いものを感じてました」
菅 野  「私はね、クラブでツッチーさんのDJを初めて聴いたとき、ほかにもあのとき何人かいたでしょう? で、ほかの人がDJしてる間、ずっと『ツッチーさんまだかな』って待ってて、でツッチーさんに代わってから……なんかオトナっぽかった」
ツッチー 「おお」
菅 野  「その夜にいた3〜4人を聴き比べただけだから偉そうなことは言えないけど、ツッチーさんのDJはオトナっぽかった。それはセクシーとかじゃなくて(笑)、なんだろう、一歩引いてるというか、とにかくオトナな感じがしたのね。都会派? いや、それはウソ(笑)。うーん、なんて言えばいいんだろう? ジャンルとかあるのかわからないし、オレが言ってるのが正しいのかどうかもわからないけど、なんかまあ、とにかく田舎では決してなくて、もの凄く都会的で、しかもムーディではなくて、ちょっとだけ引いてて、つかず離れず、というか。煽り系とか、私はあんまり下品で好きじゃないんだけど、なんかね、ちょっとIQ高いっていうか、わかりにくさとわかりやすさのギリギリのところが、非常にビバップくさいな、と」
−−− ほうほう。
菅 野  「なんかさ、下品にわかりやすく、パンツ見せたりとかさ(笑)、内臓ドバー!とかしないじゃない? そこが凄くビバップっぽいなと思ってさ。もしそのときに違う感じだったら、違う人に頼もう、って言ったと思うし」
ツッチー 「ビバップという物語自体、1話ごとに、何かしら切なくないですか? 俺、結構切ないの好きなんで」
菅 野  「例えば?」
ツッチー 「音楽もそうだし……」
菅 野  「ビバップだったらどの話が好き?」
ツッチー 「うーん……どの回というよりも、毎回ラストで、切ないというか、グッとくることが多いじゃないですか、後半の話とか特に。地上波で流れなかった回とか。普通にハッピーエンドじゃなくて」
菅 野  「音楽も切ないの好きなの? それとも切なくさせたいの?」
ツッチー 「切なくなりたいですね(笑)」
菅 野  「でも、ウルウルなのは嫌だったりする?」
ツッチー 「いや……泣くこととかありますよ。なんかね、高校生のころ付き合ってたコに振られたりとかね」
菅 野  「それは違うじゃん(笑)」
ツッチー 「あ、それは別か。でも何かしら自分が思ってるときに、そういう曲が流れたりすると、こうホロっと……そんなに自分に酔ってるわけじゃないんですけど」
菅 野  「ロマンチストなんだ」
ツッチー 「いや……それは……どうかな?」
−−− ツッチーさんはビバップのサントラとかリミックス盤も聴いてると思うんですけど、その感想とかは?
ツッチー 「うーん、なんというか、音楽をつくる側としては、自分の中でイメージを持ちながらつくってるから、結構みんな、サントラとかつくってみたかったりすると思うんですよね。で、ラップの話に戻っちゃうんですけど、バックトラックをつくるときには、俺はその時点ではあんまり思い入れを強く入れないんですよ。そこにラップで表現するのはMCの2人だから、そこの表現はお任せするというか。あんまり自分の思い入れが強いと、ただ単に自分の曲になっちゃいますからね。逆に1人でつくるときはガッチリ思い入れますけど。でも、そのときのイメージは漠然としたものなんですけどね。で……菅野さんの場合、それをちゃんと映像で表現できて、なおかつそれが映像とシンクロされてて、何だかすごい羨ましかったですよ」
−−− ツッチーさんってサントラ結構買ったりします?
ツッチー 「昔、渋谷のサントラの専門店でバイトしてたことがあるんですよ。『フロムA』かなんかでバイト探してて、『レコード屋だ!』と思って面接行って受かったんですけど、でもそれまでは別にサントラとか聴いたことなくて。その店がそういう所だと知らずに行ったんですよ」
−−− それは凄いっすね。
ツッチー 「それで2年か3年働いたんですけど、やっぱりそれで映画なり映像なりに付随する音楽、こういうものがあるというのを知って、それからちょっと音楽の聴きかたは変わりましたね」
菅 野  「好きなサントラは?」
ツッチー 「『リトルマン・テイト』(91年米)って知ってます?」
菅 野  「ジョディ・フォスターのやつ?」
ツッチー 「そう、ジョディ・フォスターがお母さん役で、すごいIQの高い子供がいて、ってやつ。そのサントラがいいんですよ」
−−− 普通、サントラって映画に合わせてつくるじゃないですか。その意味では、ビバップのサントラってちょっと普通の映画とは違いますよね。
菅 野  「私もあんまり詳しくはないけど、そういうつくりかたをしてる人は何人かいるらしくて。ガブリエル・ヤレっていう人(フランスの作曲家。『イングリッシュ・ペイシェント』でアカデミー賞受賞)は、そうなんだって」
ツッチー 「へぇ」
菅 野  「映画を見もしないで3曲か4曲かつくって、その曲のヴァージョン違いを10個ずつくらいつくるんだって。例えば“なんとかさんのテーマ”っていうのをつくったら、それの『悲しいヴァージョン』、『楽しいヴァージョン』とかって。で、それを監督に渡して、監督がその音楽に合わせて映像をつくるんだって。だからあの人に頼んで曲書いてもらったのに、監督が『こんなの使えない』ってボツにして、ほかの人に回ったのもいっぱいあるらしいんだけど(笑)」
ツッチー 「結構サントラって、メインのテーマがあったら、それのバージョン違いがいっぱいあるって感じですよね」
菅 野  「でもそれもさ、シーンに合わせて『しんみりした場面だからしんみりしたアレンジで』とかやるんだけど、ガブリエル・ヤレさんの場合は、先に『悲しそうなシーン1・2・3』とかつくっちゃうらしい。撮影に入る前とかにつくっちゃうらしいよ」
−−− 菅野さんはそういう意味では一応、監督の発注に合わせてつくる……。
菅 野  「いいえ」
−−− …………一応発注は聞くけど、無視すると(笑)。
BACK  NEXT
 SPECIAL REPORTS FOR BOUNTY HUNTERRS
菅野よう子
早稲田大学在学中に“てつ100%”のメンバーとしてデビュー。解散後は、作曲・アレンジを中心に活動し、TVCMでも数々の話題作に参加して各賞に輝く。TV・映画や、今井美樹、小泉今日子などのCDにも参加している。アニメーションは「MACROSS PLUS」「天空のエスカフローネ」「ブレンパワード」など。
ツッチー
シャカゾンビのDJ兼トラックメイカー。'94年、ラッパーのオースミとヒデボウイと共にシャカゾンビとして活動開始。独特の質感を伴った繊細な音づくりには定評がある。シャカゾンビとして「HERO THE S.Z.」(CTCR-14082)「JOURNY OF FORSIGHT」(CTCR-14134)の2枚のアルバムのほか、リミックスアルバム「S-SENCE 2000」(CTCR-14152)がある。
SHAKKAZOMBIE NEW MINI ALBUM
『GET ON DA TRACK』好評発売中!
http://www.swagger-co.com/
プロデューサーのポツリ | メイキング天国の扉 | スペシャル企画  UP BACK NEXT
TOP | NEWS | HEAVEN'S DOOR | ORIGINAL SESSIONS | BEBOP U.T. | BIG SHOT | YMCA | SITEMAP | ABOUT US
COPYRIGHT (C) 2001 SUNRISE, BONES, BANDAI VISUAL ALL RIGHTS RESERVED.
mailto : info@jazzmess.com